『新聞部の二人の相性』

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『新聞部の二人の相性』

新聞部の部長、真麻 八尋(まあさ やひろ)は部室がひどく煩いにもかかわらず、一人無心で文字を入力していた。 そんな真麻の肩に馴れ馴れしく触れる人間が一人。 「マーサちゃん、私昨日旅行に行ってね、お土産買ってきたの!はい、これマーサちゃんの分ね。」 そう言ってお菓子を差し出す新聞部の顧問、砂音寺 快李の方を見もせずに真麻は冷たく、けれどそれを察せられないように言った。 「いえ、私は良いんで、他の人にあげてください。」 「·······あら、これ嫌い?そんなはずないわよね、むしろマーサちゃんの好きな部類のお菓子でしょう?」 ·······チッ!これだからこいつは嫌なんだ。 いくらそう思っていても、流石に言うわけにはいかない。 再度真麻は結構ですから、と素っ気なく言い、快李の興味が自分から外れるのを待った。 「あと、私は『マーサ』ではなく『まあさ』、ですので。」 『まあさ』の『あ』を強調して言い、それから真麻はもうパソコンから視線を外さなかった。 そうして、快李が小さく苦笑しながらため息をつく、までがよくある流れだった。 真麻は、はっきり言って快李が嫌いだ。 なぜならキャラが被っているから。 快李が来るまで新聞部は真麻の思い通りに動く手足そのものだったのに、快李はいとも容易くその関係にヒビをいれて入ってきたのだ。 不快でない筈がない。 おまけにどんな手を使ったのか、部員は真麻の意見よりも快李の意見をまず聞くようになってしまった。 それが真麻はとても腹立たしい。 もっと明け透けに言うと、快李からどうやって部員を調きょ······飼い慣ら······仲良くなったのかを聞き出してからもうその方法で出来ないようにその口を縫い付けてやりたい。 二人の関係をまとめると。 以前は真麻が、今は快李が部員を纏めているため、結局のところ真麻も快李も人を無意識に従わせることができる。 快李が洗脳を使えるために、少し快李の方が有利なだけ。 そして二人とも、妙な支配欲がある。 結果、快李が真麻を傘下に入れようと事あるごとに話しかけ、真麻がそれをはねのけるというおかしな状況ができていた。
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