3179人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
ある日真麻は、快李に兄弟がいることを情報通でお喋りな部員から聞いた。
正直本人の弱点が知りたかったんだけど、まあこの際血縁者の弱点でも良いか、と考え、やけに聞いたことある名前の気がする、と思いながらその姿を確認した。が。
「········よりにもよってあいつらかよ······」
そうぼそりと呟いた真麻の視線の先には、明るさに違いはあるものの快李と同じ杏色の瞳を持つ二人の生徒、美景と飛鳥がいた。
美景は、同日に転校してきた天道 夕詞にべったりの美形の変人。
冷静そうで、悪く言えば冷たくも見えるほど整然と整った顔に反して、性格は明るく··········もとい馬鹿でなかなかの間抜け。
飛鳥は風紀委員に所属するだけあって成績優秀。
気難しい面もあるが少々涙脆く、顔はいいが常にムッとしたような口と眉の形が神経質さを強調してしまっている。
それが、真麻が持つ二人の大まかな情報。
そんな二人が、あの人の弟?
いや、確かに否定するだけの情報はないんだが。
···········あの二人に弱点ってあるのか·········?
顔よし、成績よし、家柄よしの二人に。
二人ともそれぞれ性格に難はあるが、それを気にしている様子はないし、むしろ開き直っているようにも見える。
だが、あの腹の立つ顧問よりは粗探しが楽そうだ。
そう思い直し、真麻はニヤリといわゆる悪役が浮かべるような悪どい笑みを浮かべた。
精々足掻け、性悪顧問の弟たち。
なお真麻は快李に向けて言った性悪という言葉がブーメランであることに気付いていない。
最初のコメントを投稿しよう!