君のニキビまで愛してる

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三カ月後。 「青井さん、何かキレイになった?」 「え!????」 ニキビがあったなんて嘘のように、つるつる肌になった陽菜子は、ずっと憧れていた斉木主任に、そう声をかけられた。 「ほほほ本当ですか!?ありがとうございます!」 「うん、もともとキレイだったけど、最近またキレイになったよね。 あ……これ、セクハラかな」 主任は苦笑いしながらそう言った。 「と、とんでもないです!嬉しいです!」 結局それだけしか話せなかったけど、陽菜子は完全に舞い上がっていた。 緊張と歓喜で一気にカラカラになった喉を潤そうと、陽菜子は社内にある自販機に向かった。 涼もその後を追う。 「……鼻の下、ブラジルまで届きそうなくらい伸びてんぞ」 「え~?そう~~~??」 デレデレした顔で陽菜子はそう言った。 「青井さん」 そこに、一つ年上の先輩である木場が声をかけてきた。 「木場さん。どうしたんですか?」 「青井さん、今彼氏いないって本当?」 「(今っていうか生まれてからずっと)いませんけど……」 「そうなんだ、よかった!じゃあさ、よかったらLINE教えて……」 「木場さん!」 危険を察知した涼が、横から割って入った。 「な、何だよ!涼」 「……課長、が呼んでましたよ。今月の目標のこととかじゃないですかね」 もちろん嘘だけど。 「げっ……。ちょ、行ってくるわ!青井さん、また後でね!」 木場はそのまま慌てて去って行った。
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