危機的状況

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「はぁ、じゃあ、今度お願いするかもしれません」 5万円すら返してくれない尚也が、随分と安っぽい男に思えてきた。 そうよ、あんな金遣いの荒い男と結婚しても、上手くいかないわ。 尚也の欠点を探し、無理に忘れようとしている自分に気づく。 少しも忘れられてない自分を知って哀しくなった。 本当に早く忘れなくちゃ………。 いきなりドン!と背中を叩かれた。 「うわっ!! 」 振り向くと、早希が薄笑いを浮かべて立っていた。 「なんだ、早希、ああ、ビックリした」 「聞いちゃったよぉ〜 梨沙、凄いじゃん。川上さん、医者を紹介してくれるって?」 「川上さんのいつもの営業トークよ。真に受けてたら恥かいちゃうわ」 「あれはマジで言ってたって。いいなぁ、独身のドクターかぁ、梨沙、フラれて万歳じゃない」 「だから、そんなの川上さんの出まかせに決まってるでしょ」 「美人はいいなぁ、梨沙が羨ましい。そうだ、キレイになったんだから、今晩なんか奢りなさいよ。約束でしょう!」 言われなくても奢ろうと思ってたのに、もう早希は遠慮がないんだから。 まぁ、はっきりしてるそんなところが早希の良いところではあるけどね。
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