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別れて1ヶ月も過ぎたある日の夜、尚也から電話が掛かってきた。
『あ、俺だけど。久しぶりだな、……梨沙、元気だったか?』
忘れたはずなのに………。
久々に声を聞いて胸がときめいた。
「なに? 何か用?」
『あ、あぁ、まだ、カネを返してなかっただろ。今、アパートのそばまで来てるんだ。ちょっと返しに行ってもいいかな?』
せっかく忘れられそうだったのに、会えばまた未練が出てきそうで怖かった。
だけど、一目でいいから逢いたいという欲求に負けてしまった。
「そう、じゃあ、返して」
電話を切ったあと、すぐに鏡をみて髪を整え、簡単なメイクをした。
尚也はわたしの変化に、少しは気づいてくれるかな?
あんなに若くて可愛い子と付き合ってる尚也には、わたしの些細な変化なんてどうでもいいんだろうな。
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