ハジメの予感

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「あーあ、やっぱりそう思ってたか」 千秋がそう呟く。  リーダーを背に、御器所達に対峙しながらハジメは言葉を続ける。 「任務は大事です、そのとおりです。ですがそれと同じくらいかそれ以上に若いコの立ち直る芽をつぶしてもいけないんです。  このコ達が少年院にいったらもうチャンスは無くなります、だから、今、決着をつけさせたいんです」 「この、脳筋直情単細胞がぁ。葵先生もなんとか言ってやってください」 「ハジメらしいか。本来の目的は私達の護衛なのにね」  ニイに介抱されて気がついてたゴイとリーダーは呆気にとられる。 「おいおいハジメちゃんよ、なに上から目線で言ってんだ。オレに勝つつもりかよ」 「わかんない」 「はぁ?」 「実際に相手して分かるわ、あんたは強い。正直勝てる気がしない。けど、逃げたり手を抜いたりしたくないの。全力でぶつかり完全燃焼。そうしないと悔いが残る、それだけはさせたくないの」 「あのなぁハジメちゃんよ」 「ごちゃごちゃうるさい!! あんたはあたしと戦うのが目的なんでしょ? ならさっさとやるわよ。ややこしいのはキライなのよ」  ややこしくしてるのはお前だろ、と夏生以外の全員が心の中でツッコんだ。 「──リキヤだ」 「ん?」 「オレの名はリキヤだ。タクヤさんに付けてもらった」 「リキヤね。あたしはハジメ、小山ハジメよ」  リキヤはゴイとニイに向かって声をかける。 「おい、お前たちは負けたんだ。とっとと捕まってこい」 二人は互いに肩を貸し合いながら立ち上がり、よろよろと警察官の前に行くと、手錠をかけられてエレベーターで下へと向かった。 「さ、これでお膳立ては出来たな。オレはハジメちゃんを倒してナッキーを連れながらもうひと暴れする」 「あたしはリキヤを倒して、夏生くんを保護する」 「いくぞ」 「おう」  あらためて対峙した二人を見て、ケイと千秋と葵がひそひそ話をはじめる。 「まったくあのバカにはまいるわよね」 「で、マジで勝てそうにないの、千秋」 「正直ね。ハジメの武器って突進力でしょ。知っていても避けきれないくらいのね。でも、さっきそれを見せてしまったから、リキヤはたぶん避けるではなく堪えるを選ぶと思うわ」 「まああの体格なら堪えられるかもね。それで?」 「羽交い締めからのサバ折りかベアハッグで一巻の終わりよ」 「そうなったらどうする?」 「あー、ハジメには悪いけど、たとえ人質にされても私が葵達を領事館に連れてくわ」 「んー、まあそんなとこか。葵もそれでいい?」 「オーケーよ。それにしてもさっきからハジメが負けるの前提で話してるけど、そんなに勝ち目が無いの?」 「「そうでもないわよ」」 千秋とケイが声を揃えてこたえる。
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