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父と娘
「全くおまえという娘は」
王は呆れたように娘をみて、眩しそうに目を細めた。ついこの前まで、戦場での話をねだる風変わりな幼い姫だったはずがいつの間にか父を凌ぐほどの器量を身に付けている。この先、経験を積めば良い女王になるであろう。これに引き継ぐまでは余も王で有り続けねばならぬ。
「これよりは、月に一度ほども街に出で、民と話し我が不明を糺すようにしよう。田を耕し民の労苦を知ろう」
「わたくしもお供致しますわ。お父様の治世の術を学ぶには二百年ではとても足りないほどにございますもの」
そういって、鸖公主は父王の前で恭しく叩頭した。
かくして、二百年後、恵国の王権は鸖公主に禅譲されたのである。
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