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「依頼主は愛村イチズ。探し人は多分イツカ。職業は絵描き、絵をかきに行くときにフラリと放浪癖がある。少し変わった男だな」
ジョーは葉巻の如く千歳飴をなめながら呟いた。キミは既に仕事に戻り事務処理の続きに頭を悩ませていた。仕事内容を確認し、事務処理を行ったうえで午前中の仕事が終わる。
午後からは現場に赴く足を使った仕事を中心に行っている。キミはいつも通り簡単なご近所中心の魔術トラブルの解決の為、依頼主の元に向かった。
「あ、新しいゲームソフト出てる。欲しいなぁ、魔術寿司。僕たちは魔術で夢を握る野望編」
独特のゲームチョイスのキミだったが、華やかな街中を駆け抜けると簡素な住宅街に辿り着いた。立体駐車場を横目に大きな屋敷のブロック塀越しにスマホを見ながら依頼主の家に向かっていた。
「それにしてもデカイ家だなぁ。きっと悪い事してお金稼いでるんだろうなぁ」
キミは偏見と思い込みが凄かった。しかし、そう呟いた後にキミは口を開いたまま立ち尽くす事になった。その悪口を言った家の前で立ち尽くしたキミは何度もスマホを見直した。
どうやら此処が目的地の依頼主の家のようであった。用意していた書類を確認し、立派な門の隣に少し古びたインターホンを見つけると、少し緊張しながら押した。
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