キミが守る魔術

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 その時であった。二人の眼前で突然爆発音がしたかと思うとその土煙の中からあのスーツ姿の女性が現れた。一瞬何が起こったのか解らなかったが柊の悲鳴と共に意識が戻ったキミは柊を庇うように前に立つと女性を睨みつけた。 「どういう事でしょうかこれは?それに今の魔術は魔術規定巡視法第七条に該当しますよ!目撃者も二人いますし」 「まだ解んないの?そうか、魔術法務師見習いじゃあ私達がズローだと言う事も見抜けない訳ね」  スーツ姿の女性は気にした風もなく自らの組織を名乗り、続けざまに魔術を放って来ていた。キミは柊を守るために結界を展開し魔術の爆発を防ぎつつ柊に離れる様に言うと、すぐさま物陰に柊は隠れた。 「そんな組織は存じ上げませんが、貴方のやっている事は犯罪です!今すぐ止めなさい」  爆発系魔術は特に攻撃力があると言う事もあるが、ボクサーが両拳を使えば凶器とみなされる様に、魔術もまたそれに準じ殺傷能力を持つ魔術の類は行使すれば自ずと犯罪となる。 「何の為にこんな事を!なぜ貴方はあの屋敷に居たのですか!」 「そんな事自分で調べな小娘が!勿論、此処から生きて帰れたらね」  散弾銃の様な魔術の爆発が止んだかと思うと、土煙から飛び出したのは日本刀を持った女性であった。  何処から取り出したのか解らぬ日本刀は刃渡り1メートルほどの長さの物で寸での所で躱したキミだったが、転がり逃げる様にして下がる他出来る事が無かった。
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