キミが守る魔術

35/54
前へ
/54ページ
次へ
「でもそれって魔術規定巡視法に抵触しませんか?確か13条の強引な悪魔との契約は魔術師としての資格の剥奪ですよね」 「そうねぇ、でもその辺りもそうだけど。法のスレスレのグレーゾーンをすり抜けてはいるのよね。貴方ならわかるでしょ?それにやっぱり悪魔は悪魔崇拝者との相性的にズローと手を結ぶと思うし」  やって来たサンドイッチをキミが食べ始めると、柊はお腹が満たされたのかホットコーヒーをいつの間にか頼み、猫舌なのか舐めるように飲んでいた。 「そう言えばうちの先生とかって友好的ですが、街に居る悪魔ってどうして許可が下りてるのか聞いた事なかったです」 「貴方ねぇ。仮にも魔術法務師を目指すならそれ位知っておきなさいよ、まぁいいわ折角だし教えてあげる」  柊はコーヒーカップを置くと、十年前に突然魔術を発現し始めた話から始めた。その頃、力の使い方も抑え方も知らない人間が社会で生まれると、人間同士ではどうする事も出来なかったらしい。 「で、その時。魔界のゲートから魔物と初めて契約した人間が居たの、そのやり方が普及して今は呼ばれた制限つきの悪魔達だけ、この地での居住権利を得たって聞いたけど」 「そうだったんですか、てっきりうちの先生は勝手にこの地に住み着いた、移民ペンギンかと」  尊敬の欠片も見せないキミだったが、サンドイッチをあっと言う間に平らげてお腹をポンポンと叩いていた。柊のホットコーヒーを飲み終わるのを待って席を立った。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加