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だとすれば、キミは悔やまれる事が一つ増えるだけである。助けられたかもしれない人間を助けられなかった。これを知っていたからこそ、ジョーは話してくれなかったのかも知れない。
その時だった。キミの持っていたスマホが鳴り出した。画面を見ると青空ジョーと書かれた、黄色いマスコットのようなペンギンが土下座した写真が映っていた。
「先生からだ!すみません失礼します」
キミはすぐさまススマホの着信を取ると、柊はどうぞと言うジェスチャーをして少しだけ場所を離れてくれた。スマホに出るや否や、焦った様な口調でジョーは言って来た。
「すまんが、例の愛村と言う女が多分に接近した様だ。事件になる前に何とかしたいがあの男、場所を言う前にスマホを切りやがったから場所が解らん」
「解りましたすぐに向かいます」
「助かった。他の三人にも応援を頼んでいる。兎に角、一度事務所に戻ってくれ」
そう言うと、ジョーとの通話が途切れた。この間はそんな事は知った事ではないと言っておきながら、結局受けた依頼に対しては責任感が生まれるのか、いつもこうして走り回る事になる。
しかし、魔術法務事務所あんみつはキミにとって、そういった人情味ある所が好きであり彼女にとっては居心地の良い場所でもあった。
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