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「先生。スミマセンでした」
「キミ君ね。いつも言ってるでしょう?魔術の法を司る者が魔術の法破っちゃ駄目だって」
「でも緊急時で、正義の行使のための法律なんですよね!」
何処にでもあるビルの一角。打ちっぱなしの灰色のコンクリートが連なる昇り階段を上がった先に掲げられた小さな表札プレートには”魔術法務事務所 あんみつ”と書かれていた。
甘味処の様な名前の事務所の持ち主は、キミの先生であり事務所の社長でもある黄色いペンギンの姿の青空ジョーである。ジョーは縦に青のストライプスーツを着こみサングラスを掛けていた。
ジョーはキミに呆れつつ事務所奥のデスクに鎮座するとマスコット人形でも置いているかのようにしか見えない姿で、くるりと椅子を回しサンシェードを少し開け外を眺めながら言った。
「正義の為でも自分が掴まっちゃ、その先の正義行使出来ないでしょうに。反省しなさいね。次、警察のお世話になったら身受けしませんよ」
「はい!猛省します」
元気いっぱいに返事を返すキミだった。問題を起こすのは何時もの事と、ジョーも気にした風もなく今受け持っている仕事の資料に目を通しはじめた。
これが”魔術法務事務所 あんみつ”の日常でも有った。
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