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キミが守る魔術
「お待ちください!一般区域での波動系魔術は魔術規定巡視法第七条で固く禁じられています!!」
「ウルセェ!お前に何が解るっていうんだ!俺はなぁ、波動系魔術一本で解体屋家業を爺さんの代から守ってきたんだ!それなのにコイツ等の所為で、俺の会社はぁぁ!!」
通勤ラッシュを終えたばかりの駅のホームで、アロハシャツにハーフパンツ姿のサングラスをかけた男は、深緑色のスーツ姿の中年男性に向かって手の平を広げながら腕に薄っすらとタトゥーの様な模様を浮かび上がらせた。
簡単に言うと人質を取ったアロハシャツの男は、スーツ姿の男に恨みか逆恨みかを晴らさんと駅のホームに立て籠もり中であった。
不幸中の幸いか、駅には駅員と犯人とその被害者。そして説得を試みている一人の女学生だけであった
「それ以上罪を重ねないで下さい!まずは何があったのか、この魔術法務師見習いの鳥越 キミがお話を聞きますので!」
学生服姿の女の子は、利発そうなピンク色のショートボブ頭にひまわりの髪留めがトレードマークのキミはそう言ったが、男から返って来た言葉はとても彼女の期待には添えない言葉だった。
「ウルセェ!見習い風情が偉そうに大人の話に入って来るんじゃねぇよ!コノチンチクリンが!!」
それは背丈の事だろうか?それとも慎ましい胸の事を言っているのだろうか?どちらにせよキミにとって言われたくない言葉である事に違いはなかった。
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