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ブランケットを口にくわえ、念じて主人の上にパッと掛けた。そして同様に主人が作った織物をまとめて包み、宙に浮かせながら屋敷を後にした。
「今日は良い流れ星が降るなぁ」
流れ星便を出した帰り、ボクは久しぶりに宙を軽く飛びながら星鑑賞をした。
そういえば、主人と初めて会った日もこんなに流れ星が降っていたっけ。あれはもう何年前のことになるのか…。
『やだ、猫ちゃん。ちょっと大丈夫!?』
道端の草っぱらで瀕死状態だったボクを見つけてくれたのが主人、織姫様だった。
ここ天界は、地球とさほど変わりはなく、特別な能力、魔力を持っているのは、中でもごく一部の上流階級の天人だけだった。そこにきて、ボクは猫でありながら、人と話せる能力、限界はあるものの物を操れる力が生まれつきあったのだ。
残念ながらボクの育った環境では、それは異端と見なされ、兄弟たちからも疎まれ、いじめられた。もちろん天人達からも気味悪がられ、飼ってもらえることはなかった。
既に自分の天命を諦めていたボクは、主人と出逢った時、投げ飛ばされるつもりで返事をした。なのに織姫様ときたら、
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