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ぐっと後ろ足に力を入れて立ち上がると、急に視界が開けた。いや、むしろ視界が高い。無意識に飛んでしまったのか?
慌てて下を見ると、見慣れない天人のような足が二本、地面に見える。
「え……ええ~…!?」
こっそり屋敷に戻ると、主人はぐっすりとソファで寝ていた。それを確認してから、ボクは主人の寝室へと向かった。寝室のウォークインクローゼットを開けると、ズラリと並んだ男物の服。主人が彦星様へと作った品々だ。
「彦星様には悪いけど、お借りします!」
パン!と一つ両手を合わせてから、服を一着取り出した。何せ急に猫から人に変わったのだから、真っ裸だったのだ。
「さすが織姫様…。着心地が格別だ…」
言いながら袖を通すと、何故かチリッと胸が痛んだ。
「さて、これからどうするか…」
と、クローゼットの鏡と目が合う。
いや、正確には天人姿の自分と目が合った。
おやおや。これは…。
クセのある黒い長めの髪。
褐色肌の健康的な肉体。
織姫様がキレイな色ねと言ってくれたブルーアイはそのままに。
よく見ると袖の裾が短いから、彦星様より背丈があるらしい。
「俺、めっちゃイケメンだな?」
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