【1・説得】

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【1・説得】

ある平日の夏の昼下がり。 とあるファミレスの窓際の席で、二人の男が何やら話をしていた。 一人は、パリッとしたスーツ姿の若い男。 そしてもう一人は、年配の男で…どことなく薄汚れた感じのヨレヨレのジャンパーを着ている。 スーツ姿の若い男は…弁護士。 そして、ヨレヨレのジャンパーを着た年配の男は…実は、ホームレスである。 「お願いです!」 と、若い弁護士が年配のホームレスの男に勢い良く頭を下げた。 「あなたの目撃証言が事件をひっくり返すかもしれないんです!お願いです!証言をして下さい!」 「うぅん…」 と、それに対してホームレスの男が口を開く。 「いやぁ…ここで、こうしてタラフクご馳走になっちゃったし、弁護士先生のお願いを聞いてあげたいんだけどさ…。 どうも、俺はゴタゴタに巻き込まれるのが好きじゃないんだよなぁ」 ホームレスの男のその言葉に若い弁護士は、なおも負けじと食い下がった。 「お願いです! 証言をして下さい!勿論、それ相当の謝礼をさせて頂きます! 一人の人間が殺人罪になるかどうかの瀬戸際なんです!お願いです!証言をして下さい!」
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