【３・濡衣】

私は…幼い頃、早くに母を病気で亡くし、それ以来ずっと父が男手一つで私を育ててくれた。父は、どちらかと言うと温厚な性格だ。それに、一人娘の私から見ても凄く気が小さい人だと思う。だから…もし、父が誰かから何か理不尽な事を言われたとしても… それに対して父は、あまり強く反論はできないだろう。そして、父は本当に真っ正直…真面目で実直、そして勤勉でもあった。元々、父はある中堅会社の経理マンで… 十数年もの間、真面目に仕事をこなし、会社からの信頼も厚い様だった。しかし… そんな父の人生に、『綻び』が見え始めるのだ…。

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