紙一重

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紙一重

ギターを掻き鳴らす めちゃくちゃだ 技術も知識も何もない 他人には雑音で 煩くて理解し難いだろう でも私には心地良い音律 このまま弾き続け 旋律を手に入れようか それには覚悟が必要だ 好きなものは 本気になれば 途端に牙を剥いてくる 好きなものは いつでも自分を苦しめる それでも良いと 突き進むなら ギターの寝床を押し入れに してしまうかもしれない ギターは添い寝して くれるかもしれない やれたのに投げ出したのか やったのに投げ出されたのか 悔しさは紙一重 最後の弦の音 時計の針の音 通り過ぎるトラックの音 それに負けない遊ぶ子供達の音 灯りをつけた音 それらの流れでごまかすように そっと置いたギターの音 ずっとずっと遠くから 何か聞こえた気がして ベッドを軋ませ窓を見た 長く震える音 たよりなげであり 精一杯でもあるような それは 試合開始を告げる ホイッスルだったろうか
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