百合畑は彼女に微笑む。

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百合畑は彼女に微笑む。

 そこはとても綺麗な場所で、車を降りた後は思わず立ちすくんでしまっていた。  「百合の花…」 「ここは昔からずっと百合畑があるんだ…本当はもっと早く言うつもりだったんだけどね。どうしても百合が高校生になってからの方が良いと思って…。」 そう言って、お父さんは話し始めた。その訳を。  「お父さんとお母さんが初めて出会ったのは、今の百合と同じ高校一年生の時だったんだ。その時出会った場所がこの百合畑なのさ。」  たまたま見つけた隠れスポットに居合わせて気があった二人は何度もこの場所でデートをしたとか、お父さんが転校して離ればなれになっても、大人になった時に百合畑に行くとお母さんも来ていたとか。お父さんは「この百合畑がお父さんとお母さん結んでくれた。だから、今度産まれてくる赤ちゃんに『百合』と名付けようと決めたんだ。」と今にも涙がでそうな声で言って、続けてお父さんは声を漏らした。 「ごめん、泣くはずじゃ無かったんだけど…」その時私にも何かがこみ上げてきた。今にも泣きそうだ。 「泣いて良いよ。私もちょっと泣きそうだから…」  泣き続ける二人を、百合畑は静かに見守り微笑んだ。まるで、お母さんが目の前にいるかのように。  
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