気まぐれ

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 翌日、昼過ぎに目を覚ますと床首くんにちょっとした変化があった。  まず、昨日あげた水が減っていた。そして床首くんの色が少し濃くなっている感じがする。前はいつの間にか消えてしまいそうだったのに、今日はもうしばらく消えないかな? くらいの存在感がある。  何か危ないか? 一瞬思いはしたが、部屋の中の空気も変わっていない。窓から差し込む日の光はとても明るく、室内の観葉植物は今日も元気で艶々とした葉を伸ばしている。室温も夏らしい湿度と温度だ。  まぁ、幽霊だからと全てが祟るわけではない。ただ通り過ぎているものや、害を与える気のないものが圧倒的多数だ。床首くんもそうなのだろう。 「床首くん、おはよ。今日はこれから仕事だから、留守番たのむな」  言って撫でた髪の感触は、昨日よりも少ししっかりしている気がした。
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