ジュリアン坊やパパになる

しかし、ことはやはり良くない方向に動き出した。
メリーのお腹に変化が現れたと噂が立ち始めたのである。

地元の新聞のゴシップ欄に載った程度ならばまだよかった。若干、トゲを含んだ流言で、ことは収まるかに見えたのである。しかし、これが外国の通信社に流れると、話は一気にバラエティに富んできた。

興味本位に作られたさまざまのゴシップの中には、何ともえげつないものが幾つかあるようである。各国の新聞種から、その一つをピックアップしてみよう。

『見かけは少女だが一九八五年生まれの熟れ盛りの三十女。情事にたいしても用意万端、間違いなど起こすはずがない。基礎体温を計っているという噂もあるくらいである。十七世紀生まれのジュリアン坊やは、無邪気この上なく、その見かけ通り、頭の中は坊やそのものである。ガレリオの時代からあまり進歩していない。
そんな坊やを父親に仕立てて、お腹が大きくなったというこの度の騒動、何となく作為さえ感じる。・・・まさかとは思うが・・・』