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これらの情報と映像は、インターネットを通じて瞬く間に全世界に広がり、鉄柵の中で用を足すメリーに同情の声が集まった。
このゴシップの実態に興味と関心を示し、ジュリアン坊やとメリー少女を見ようとこの国を訪れる内外の観光客は、例年の三十パーセントも増えたという。
政府は観光客の要望に応えて、少女像の鉄柵の正面を若干開いたが、高さがある上に、採光が悪い。噂の真偽を確かめるというよりは、論議を高めるような処置だった。
王さまは、観光客の増加を見て、改めて首相を呼び出した。
「君の提案は当たったようだね。まあ、あまり上品なアイディアではなかったが、この国の観光客の増加を図るには、えり好みしている時でないからね」
首相は、王さまの直々のお褒めの言葉を頂き、鼻高々だった。
しかし、このアイディアが、ジュリアン坊やからでたことは、一国の首相として口がさけても云えないことだった。
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