ジュリアン坊やパパになる

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とにかく、ここのところついてない。 昨晩は、朝からオシッコの出が悪く、様子を見に来た市の職員が、ジュリアンの体を診察して「自己管理」をきちんとやるようにと説教をくらったばかりだった。 生まれたままの姿格好で、オシッコを高々と飛ばす可愛い男の子の愛称は、 「ジュリアン坊や」。 オシッコを飛ばし続けて四百年。 見かけは坊やでも、最も高齢なブリュッセル市民でもある。 通称「小便小僧」(Manneken_Pis-マネケンピス)として世界中に名を売り観光名所の一つにもなっている。 それだけに、些細なことでも、メディアの関心の対象になる。 約三十年前に、「坊や」がいるのに「娘(むすめ)」が居ないのは、男女平等の理念に反するとか、一部の役人、同調する市民がいい加減な理屈をつけて突然「小便少女」(Jeanneke Pisージャンネケピス)、メリーが誕生してしまった。 「小便小僧」の評判を二倍にしょうとの浅知恵だったが、評判はかんばしくなかった。 ジュリアンとまったく同じ生理現象であり、違いといえば、用を足すときに立ってするのと、腰を落としてするのとの違いだけなのに、メリーの場合は淫らな思いを連想させるとして世間の論議を呼んでしまった。 ジュリアンより三つ四つは年上らしい顔かたちも、当初より、スキャンダラスの匂いがすると危ぶむ声が高かった。
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