9.浜松といえば?

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9.浜松といえば?

 浜松駅に着くと、私たちは駅前の複合商業施設に入居するマクドナルドで昼食をとった。 「せっかく浜松まで来たのになんでマクドのハンバーガーやねん」  祐樹は不満そうに照り焼きバーガーを頬張る。 「鰻食えるお金があったら新幹線乗ってるわ! 黙って食べ」  私は手にしたチーズバーガーにパクついた。  昼食もそこそこに再び普通電車乗りこんで東へと進む。今度の電車も空いていて簡単に座ることができた。 「また各停かよ。在来線乗り放題の切符なんやから、特急でビュンと行こうや」 「言い忘れてたけど、青春18きっぷは有料列車は適用外やねん。乗りたかったら別料金がかかる」 「じゃあさ、快速とか有料列車じゃない優等列車に乗ろうや」  手に持ったお茶のペットボトルを弄びながら言う祐樹に私は首を振った。 「残念ながらこの区間は普通電車しか走ってないみたい。でも熱海まで行ったら、快速もあるみたいやで」 「で、その熱海まであとどれくらい?」 「えーっと……。たしか次の島田駅でもう一回乗り変えたら着くはずや。ちょっと確認するわ」  私はカバンを開けてスマホを取り出し……あれ? スマホがない? 「祐樹、お姉ちゃんのスマホ、知らへん?」 「知らんけど。もしかして、落とした?」  カバンをひっくり返してスマホを探したがやっぱり見つからない。 「……その、もしかしてやわ」 「マジか……」 「どーしよ! 病院の住所もスマホに入ってんのに! これやったらお父さんに会われへん!」  言ってすぐに、しまった、と思った。しかし時すでに遅し……。  全部、祐樹に聞かれてしまった。
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