時を止めた女

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「で、その女の人を調べて欲しいというわけか?」 「そうだ。私たち夫婦が住みだしてからすぐに引っ越してきた。一人で。彼女はたまにしか外出しないのであう機会は少ないのだが、いつも幸せに満ち足りた表情をしているんだ。しかもあんなに大きな家に一人で住んでいる。そして何よりも大事なことは、彼女が越して来てから十年が経つが、その見た目が全くと言っていいほど変わらないんだ。気味が悪いほどに。妻は半ば本気で、人間じゃないんじゃないかと言っている」 「それでわたしになんとかその秘密を、彼女の素性を調べて欲しいと」 「そうなんだ。名のある精神科医である君なら、なんとかなるんじゃないかと思ってね」 「彼女が私のクリニックに来れば、どうにかできると思うんだが」
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