ちょっとだけ…< 古代エジプト★まめちしき

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ちょっとだけ…< 古代エジプト★まめちしき

●「ハトシェプスト女王」という呼び名 古代エジプトの王は、第五王朝以降は基本的に、「五重名」と呼ばれる五つの名前を名乗っている。内訳は以下の通り。  ホルス名  ネブティ名(二女神名)  黄金のホルス名  即位名(上下エジプトの王/ネスゥ・ビト名/プレ・ノーメン)  サァ・ラー名(誕生名/ノーメン) ★誕生時につけられる素の名前 ハトシェプストの五つの名前は、作中の最初の方に出したとおり。その中で「ハトシェプスト」は誕生時の名前であり、王としての名(即位名)ではない。 即位名は「マアトカラー」なので、実際は「マアトカラー王」と呼ぶのが正しいと思われる。 ●「女王」という呼び名 実は古代エジプト語に「女王」にぴったり該当する単語が無い。…というか、女王という呼び名自体が見つからない。 そもそも女性には、基本的に王権が無いのだ。「古代エジプトは女系なので第一王女が王権を持つ」「王女と結婚しないと王になれない」のような説は、はるか昔に主流から外れてしまった俗説。男性の後継者を意味する皇太子に該当する単語はあり、常に息子につけられている。また、古代エジプトの王たち、とくにハトシェプストの生きていた新王国時代は、父系の家系によって王権の正当性を誇示している。 ●ハトシェプストは唯一の女性フォラオか? 答えから言うと、違う。 むしろハトシェプストの治世は全て義理の息子との共同統治であり、単独統治がないため、女王と呼んでいいのか微妙。数年だが単独統治したことが確実と思われるのは第12王朝のセベクネフェルなので、むしろこちらが「唯一」に相応しいと思う。 ●最近はネフェルティティ女王説とかもありますが… 実はあれ、新しい説じゃなくて昔からあるけど「証拠もないし空想はやめようね」って否定され続けてたやつです…。最近は、あの説を支持してる学者さんが大御所になってるとか色々とありましてですね…。 仮定に仮定を重ねて説を作るものは学術的な論証ではないと考えるため、筆者は学説としては支持していません。そういうのこそ小説とか創作物でやらないと。 ****************************** 以上、知らなくても別にいいけど、知ってると「あっふーん」となれる豆知識でした。こだわりすぎて話が面白くなくなるのもどうかと思うけど、さすがにハトシェプストの創作をするのに彼女の本名フルネーム知らずにやるのは勿体ないと思います。
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