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愛車ダイハツ・タントに乗り込み、紫門と紫音は馴染みの店に出かける。いつも通りの無表情な紫音に対し、紫門は心から嬉しそうだ。
「お、紫音。そのキャミ初めて見るけど可愛いな。濃いめのピンクも似合うじゃないか」
「こないだ縁と行ったお店でね。あの子が推すものだからつい。頭悪く見えるでしょこの色」
「そんなことないって。紫音は俺に似てベースがいいんだから、どんどんオシャレした方がいいよ。縁ちゃんに教えてもらってさ」
「ふん!パパに似てるなんて思ってませんー。それより買い物7秒で済ませてね。私は本を読んでいたのだから極めて迷惑なの」
こんな可愛くない娘の何が可愛いのかわからないが、とにかく紫門は紫音にメロメロなのであった。
「紫音、反抗期か?パパにはもっと素直になっていいんだぞー」
「違います。反抗『期』なら期間限定じゃない。私は生まれてこの方ずっとパパに反抗しているのだから、反抗期ではなくて『反抗』です。ふふ」
「相変わらず理屈っぽいなあ。そこ直さないと友達100人できませんよ?」
「お説教は結構です。だいたい100人友達いたって、信じられるのは結局2、3人でしょ。なら私はその2人だけいれば十分だわ」
実はこれは、詩乃が生前にしみじみとつぶやいた言葉。紫門はその言葉に、紫音が数少ない友達を信頼していることを感じとり、また嬉しくなる。
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