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ラブレター?
「………まじか」
翌朝、いつもと同じように靴箱を開けると、いつもと違うところがひとつ。
一通の封筒が上履きの上に置かれていた。差出人を見ると見覚えのない名前。
これはもしかして……? と一瞬思いはしたけれど、ここは男子校だと考え直す。でもそういやここでそれは通用しないんだっけ? いやでもまさか。12年間の共学での生活でもそんな古風なことはされたことがない。
これは一体なんなんだろうと固まり、人を間違えたのかともう一度表に返すと間違えなく自分の名前が書かれていた。ほんとにこれは何。
「おはよー凜。って何で固まってんの?」
肩にぽんと置かれた誰かの手。
「あ、翔ちゃん……」
どしたの? と俺の手元を覗くのは斉藤翔太。同級生であり、なんと俺の幼馴染だ。って言っても翔ちゃんは中学校からこの学園に入学したから、付き合いがあったのは小学校までだけれど。
それでも懐かしく見知った顔があったのに、俺はものすごく安心したのだ。
同級生ではあるけれど、ちっちゃいころからしっかりしていた翔ちゃんは、どこか俺の兄貴みたいな存在だった。
「……ラブレター?」
「いやまさか」
「っ、凜ちゃんなんで俺を置いてくの!」
後ろからどんっとタックルされて体勢を崩す。やっぱりこいつは犬だ。駄犬だ。かわいいけどたまに鬱陶しい。
「……凜ちゃんそれってラブレター?」
「違ぇよ」
たぶん。
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