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「──で、手紙だけど」
「は、はい」
「………本気なの?」
これだけ赤くなっているやつに聞くのは失礼かとも思ったけれど、近藤はさらに顔を真っ赤にしてコクコクとうなずいた。
ほんとになんていうか、
「……小動物?」
「え?」
「いやなんでも」
きょとんとしてる近藤に微笑めば、首まで赤くしてうつむいてしまった。そこまで照れなくても。
「えーっと……」
断ろうとは思っていた──でもなんて言えば、そう考えていると、近藤は少し落ち着いたらしく、コーヒーカップを傾けながら微笑んだ。
「……ダメもとだったから」
「え?」
「荻野くん高校からの外部生でしょ? いきなり男に好きって言われても困るよなぁっては思ってて」
でも、なんか我慢できなくなっちゃって、そう笑う近藤は素直にかわいいと思った。というか、なんというか、ちゃんといいやつだ。
「……ごめん」
「こっちこそごめんね。こうやって来てくれただけで十分。すごく嬉しかった。ありがとう」
少し照れながら微笑む近藤に、自然とこちらも表情が和らぐ。
「俺も、ラブレター? とか、はじめてもらったから。……びっくりしたけど、嬉しかった、かも。ありがとう」
ラブレターが嬉しかったんじゃなくて、実際に近藤と話してみると悪い気持ちはしなくなったんだけど、なんて思いながらアイスティーを口にすると、近藤が吃驚した表情で尋ねてきた。
「は、はじめて?」
「え? あぁ、うん」
「女の子とかからは?」
「んー、手紙とかではなかったかなー……」
親衛隊とかラブレターとか、なんとなくこの学園って古風だよな。
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