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「──はあ、」
「お前なんもわかってないよな」
「うーん、いまいち実感がないっていうか」
「……クラスとかでも多少は騒がれてんじゃねぇの」
「何か女子的なチワワみたいなのからは適度に……?」
女子的といってもあくまで男なのだけれど。なんというかノリが女子っぽい。
「……でもそれで言ったら先輩だって危ないじゃないですか」
ふと思い立ったことを口にする。
女性的な顔ではないにしても、先輩はどちらかと言うと綺麗な顔立ちだ。
筋肉があるのはわかるけど、それでもスラリとした印象が強いし手足も長い。うらやましいことこの上ない。
共学だったら間違いなく女子が群がっていただろう。……ここでも男子に群がられているんだろうけど。
こんなところにいていいんですかー? と聞けば鼻で笑われた。……なんかやっぱり やなやつ、だ。
「襲われる趣味はねぇよ」
「俺もないですよ」
「非力なお前とは違うの」
小学生でも相手にしているかのように頭をぽんぽんと叩かれる。どうやら俺に対しての信用はゼロらしい。
しかし俺だって非力と言われるほどではないつもりだ。普通の男子高校生程度は動けると思う。
「ゴリラみたいなの大勢に囲まれてもなんとかなるってこと」
さすが風紀委員長様。
ゴリラが大勢というのは無理かもと思い素直に気をつけますというと、そうしてくれと返された。
すでに注意をしている一生徒のために行動するあたり、もしかしたら少しはいい人なのかもしれない。……少しは。
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