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——後日談——
「舞、ですか?」
「そうだ、主殿のために舞ってほしい」
ドーナツを黙々と食べながら、てん様がいうには、1年に1回、この周辺を収めているてん様の主である山神様に、御神楽を捧げるらしい。楽器奏者はいるが舞う者がいないそうだ。
「主殿は祝ってくれるだけでも良いというが、やはり華がない」
『忘れられた神なのだ。お前達が演奏してくれるだけで、私は嬉しい』
「なんて寛大な神様……」
人がたまに手入れをしにくるだけになってしまった神社。
昔は祀るだけ祀って今は忘れてしまった。見える人もほとんどいない。
「てん様。私でよければやります、やらせて下さい!」
「そうか。ではさっそく明日から取りかかるぞ。まだ日はあるが行事だからな、色々作法もある。我らの山神様に感謝する御神楽だ。粗相のないようにしなければ」
いそいそと巻物になにか書き連ねていく、てん様に嫌な予感がよぎる。
「……え、あの、その御神楽は、何時間舞うんですか?」
「うん? ほんの3〜4時間だ」
我らの時間でやるからな。さらりととんでもないことを告げる。
「安心しろ、また憑いてみっちりやるぞ」
「いやぁぁぁ!!!!」
当分、天狗様と一緒に過ごすことができそうです☆
終わり
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