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それから数週間後。
「綺麗になったね」
「はい?」
振り向くと、以前私をふった同級生がにこやかに立っていた。
「最近、クラスで日野間さんの噂でもちきりなの知ってる?」
「はぁ」
てん様とショッピングにいった次の月曜日、恐る恐る学校に行ったけど、何時も通り遠巻きに見られているだけで、友達は食べ物だったから、この姿にどう思われているかわからずじまいだった。確かに、笑い声は聞こえなくなったなぁって思ってたけれど。
後は隣のクラスで声をかけてくれた女の子とちょっと会話できるようになったくらい。
「長い髪で全然気づかなかったけど、すごい痩せたよね。しかも顔も可愛くなったし」
てん様やてん様のご友人、そして店員さんのアドバイスのおかげよ。そばかすを目立たせないメイクを頑張ってマスターしたし、肌のお手入れもこまめにするようになって、最近ようやくニキビが減ったのだ。
私、一人では変えられなかった。
「ねぇ、もしかして以前俺に言われて事、気にして…?」
「きっかけはそうだったけど、今は私に背中を押して側に憑いてくれた方の為に努力してるの」
「え、つく?」
「ばいばい、約束があるからもう行かなきゃ」
ポカンとしているクラスメイトに別れを告げて、校門へ急ぐ。
美味しいと口いっぱい頬張る天狗様の姿を思い浮かべて、私はおやつ解禁祝いに夜なべして用意した新作のドーナツ達を抱きしめる。
一緒に食べるおやつはどんな味になるのだろうか。
私は神社へと駆け出した。
Fin…?
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