綺麗になるために天狗様が憑いてくれました☆

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「ふむ。つまり、だ。想い人に贅肉と地味な人間は嫌いと言われたのか。いいじゃないか。そんな外面で比較するようなやつ。こちらから願い下げだ」 「いやぁぁぁ、ひどいっ。まだ好きなのにぃぃい」 「いや、どこに好きの要素がある」 「だってかっこいいもん」 「お前も外面で選んだのか。どっこいどっこいだな。次からは内面も見るべきだ。良い勉強になったじゃないか。ではな」 「待って! お願いします。その、天狗様のピチピチの肌とサラサラな髪を私に下さい!!!」 「阿呆か。人間と作りが違うし、くっつくな」 「あぁぁぁ、神様はどうしてそんな恵まれてるのぉぉぉ」 「比較する時点でお前はダメだな。それに俺は神じゃなくて天狗だ」 「天狗様でも恵まれすぎてるぅぅう」  またギャンギャン泣き出した。流石に耳を塞ぐ。そもそもこの人型も人間を怖がらせないように化けているだけだ。人間は本当に化かせやすいな。  折角の神眼も持ち腐れだ。見える奴に久々に会えたがこんな軟弱な奴だとは。主殿に知らせるのはやめよう。門前払いもいいとこだ……。  あ、そうか。 「ふむ。外見は専門外だが、そのウジウジした性根を治すことは可能だぞ」 「ふへ、どういうこと……」 「しかしそれには対価がいるな。おい、何か持ってないか?」 「え、何かって、お金はちょっと……」 「供えるもの、だ」 「供えるもの? あ、お供えね。お菓子ならあるけど」 「じゃあそれを寄越せ」 「えー。はい。渡します」  人睨みしたら、角張った風呂敷からゴロゴロといっぱい出てきた。殆どが手作りのようだが、食べ物しか入ってないのか、その中は。これは流石に、 「多すぎやしないか」 「え、いつも夕飯前はこのぐらい食べるよ」  なるほど。外見も治すことが可能な気がしてきた。 「よし、では、これを全部頂こう。そして貴様に暫く憑いてやろう。ありがたく思え」 「は? 憑くって、どゆこと?」 「安心しろ、とってくやしない。俺は食通だ。お前は不味い」  まだ、な。さて、久々の荒療治だ。 「え、うそ。どういうこと。なんで、なんでそうなるのぉぉお!!!!」  一際、甲高い声あげて、人の子は地面に倒れていった。  全く、手のかかる奴だ。
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