0人が本棚に入れています
本棚に追加
それから2週間に1人くらいのペースで告白をされるがそれ以外は特に大きな出来事もなく、夏休みが始まった。
夏休みは最高だった。宿題をこなしたまに友達と遊びに行ったりはしたが、それ以外は俺の大好きな星波杏奈の出ているドラマやバラエティ番組を見返しまくった。最高にかわいい。最高に幸せだ。
どうして俺の周りには星波杏奈みたいな子が一人もいないんだ。
見た目はいいが高飛車で人の悪口ばかり言うめんどくさい女か、性格は良くても見た目に気を使わない全くイケてない女かしかいない。
おかげで中学の時に数人付き合ったっきり、彼女はいないし作る気もない。全部断っている。
いいんだ俺には杏奈がいる。杏奈を見ているだけで俺は心が満たされるんだ。
そんな幸せ時間はあっという間に過ぎ、2学期が始まった。
俺は久しぶりの登校に少し新鮮味を感じながら、いつものホームで電車を待った。
電車に片足を乗せ、体重を電車に移しながらふと顔をあげ、斜め前方向7人がけ席の端に座っている人を見た。
なんと俺の大好きなあの星波杏奈が座っていた。
俺は心臓が止まるかと思った。
周りの人間もチラチラと彼女を見ていることが分かる。
スタイルも肌のキレイさも本物とそっくりだと思った。まさか本人なのか?
最初はそう思ったが、本人ではないと確信した。
彼女は俺と同じ高校の制服を着ていたのだ。彼女は俺より年上で、高校をとっくに卒業し成人しているのだ。
「おはよ~宿題終わった?終わってたらちょいノート見してくんね?」
「おー、それよりさあの子さめちゃくちゃ星波杏奈に似てない?」
途中から乗ってきた友達の質問は聞き流し、この重大事実を共有する。
「確かに、こっからみるとめちゃくちゃ似てるな…てかうちの制服じゃね?」
「そうなんだよ。あんな子いたか?」
「いや…俺の可愛子ちゃんデータベースには乗ってないし、そもそもあんな可愛い子がいたら絶対噂になってるはず。てことは転校生?」
色々な考えを巡らせながら、俺は学校の最寄り駅に着くまで彼女を視界の端で見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!