父は久遠

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 今年16歳を迎えた僕。  いつの間にか平均より小さい父をかがんで覗き込むようになった。  古い黒縁メガネの向こうで「大きくなったなぁ」と父は嬉しそうに笑っていた。  実際、父さんは何歳なのだろうか?  母に一度聞いてみたことがある。 「そうねぇ。大きい戦争を幾つか経験したことがあるって言ってたわ」 「え!?」  最後の戦争で当時14歳だとしても、すごい歳になる。何度も経験ってそれじゃあもっと? 「うんとうんと前に生まれたって言ってもだぁれも信じてくれなかったのよ」 「母さんは信じたの?」 「そりゃ最初は信じなかったけど、年を重ねて会うとあぁ本当のことだったんだなぁって」  そう言って母さんは父さんとの出会いを語ってくれた。
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