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「面白い話をしているね」
「あなた」
「あ……」
「ちょっと、二人揃って、何バツの悪そうな顔しているのよ。ほら、あなたも休憩してみんなでお茶にしましょうよ」
変な気をつかった母さんは台所へお茶を入れにスキップして部屋から去ってしまった。
普通気まずくなるのは、母さん達の方では!?
「気まずい」
「率直だね」
俺の心境は言葉に出てしまっていた。
「父さんが怖いか?」
「別に。母さんに聞いたのも、素朴な疑問をつい口にしたってだけだし」
それで父さんの見方が変わるわけは……少し変わった。
「ねぇ、父さん。もし母さんがいなくなったら、どうするの?」
「……お前は、本当に母さんにそっくりだなぁ。びっくりするよ」
ずり下がった眼鏡をかけ直して、真っ直ぐ僕を見つめて答えてくれた。
「生きるよ。だって未来、お前がいるじゃないか。母さんも未来も大事な人だ」
父はこれからもずっと変わらないかもしれない。
でも、俺はこの人が父で良かった。
願わくば、父と母がいつまでも一緒で笑っていて欲しい、そう思った。
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