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この私立中学校はスポーツも盛んだが、古い西洋式建造物を模した格式高い図書館があり、生徒に豊かな心と冒険心を育む事をモットーとしている。
しかし社会的にも本離れは著しく、紙の匂いのする本を手にして読む文化は衰退した。由緒ある読書倶楽部に入部する生徒は年々激減し、一年生からずっと孤独な部長を続行中の島谷美沙子は三年生の春に親友の人気を借りて、新入生の男子生徒を六人掻き集めて活動している。
そしてある日の放課後、図書館の中央の広いテーブル席に集まった読書倶楽部のメンバー全員が、一冊の本を前にして奇跡を感じて興奮した。
「どう見てもこの本の主人公、千空だよね」
読書倶楽部の部長・美沙子がそう呟いて、テーブルの赤い布を敷いた台の上にその本を置く。
タイトルは『空と風の色』という青春小説で、一週間前に学校の図書館に寄贈され、メンバー全員が回し読みして本日緊急会議をしている。
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