第二話・図書館での謎解き

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 五月のそよ風が新緑の香りを運び、坂下千空は松葉杖を家の玄関に置いて、ゆっくりと通りへ歩き出し、時々立ち止まって足の怪我の具合を確かめ、ジャンプしたりスキップしてみる。 「これなら、バスケやれそう」  スポーツバッグには体操着とボールも入っていたが、千空(ちそら)は慣れ親しむ体育館ではなく図書館へ向かっていた。  授業の休み時間に美沙子に調査状況を聞きに行っても「謎は図書館で解いてみせる」と、同じセリフを繰り返され、千空(ちそら)はそう言われる度に、きっと推理は難航していると思った。  自分でもタイトルと作家の名前をネットて調べてみたが、アマゾンでも街の書店では売ってないし、作家の名前すら存在しない。  図書館の玄関口へ行くと【本日は図書整理の為、休館日とします】と書いてあったが、受付に美沙子と読書倶楽部のメンバーが六人整列して千空を出迎えて手招きされる。 「ようこそ本のミステリーへ」  千空(ちそら)は一年生の男子生徒が六人読書倶楽部に入部した事は知っていた。以前、美沙子に頼まれて新入生の倶楽部勧誘に一緒に行った時、ファンだと言って握手を求めたオタクっぽい男子生徒たちである。 「美沙子。体育館より図書館を選んだんだ。楽しくてスッキリする推理ゲームを頼むぜ」 「もちろんです。千空(ちそら)、足治って良かったね。さー、こっち、奥のテーブルに着いてください。みんなも早くして」
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