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「脇に停車したうちの車の横をすり抜けるときの、“ありがとう”の手のサインがめちゃカッコ良かった!」
言いながら、2本立てた指をおでこにつけ、スナップを効かせて指を頭から離し、ニヤリと笑って見せる女の子。
私の真似をしているらしい。が、誇張しすぎだ。恥ずかし過ぎて、悶えたいというより地団駄踏みたくなっていた私に、女の子はなおも喋り続ける。
「ここまでずっと、お父さんと、お兄さんの話をしてきたんだよ!」
ねーっ、と、一層高い声を上げて、女の子が後ろに振り返った。
「そうだね」
と、お父さんらしき男性が穏やかに応じる。そして、私へ視線を移し、軽く会釈した。
「娘が突然すいません」
女の子がしっかりしているせいか、お父さんの頼りなさ気なふにゃりとした雰囲気が強調されていた。
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