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「私たち、今から星を見に行くんだ。昨日雨だったから、今日はよく見えるだろうって」
「そっか」
言われて、見上げる。
深く黒い空は、しかし明るく輝いていた。視界一杯の星が空からあふれんばかりに広がり、光を放っている。
空だけを視界に収めたためか、距離感がおかしくなる。空が落ちてくるような圧迫感があり、膝が抜けそうになった。
女の子の声が、変わらず朗らかに転がってくる。
「お姉さんも一緒に見に行こうよ!」
「えっ」
唐突な申し出に取り繕う余裕がなく、つい率直に驚いてしまう。
「ここからだとすぐだって、お父さん、言ってたよ。折角だから一緒に行こうよ」
親子水入らずを邪魔するような無粋を働きたくないし、私自身が知らない人間と星を見て楽しめる人間ではない。
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