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 得意げに答えるアリオカの言葉に、少年の周囲にいた学生達が目配せをし合い肩をすくめる。  だがアリオカは、教室内のそんな様子に気づいていなかった。  アリオカの答弁を聞き、グィノーは教壇に置いた教科書の上に両手を乗せてふむと頷いた。 「私の授業を受講するのに相応しくない人物がここにいるというのだな。君は誰がそれに該当すると考えているのか?」  さらに訊いてきたグィノーにアリオカは眉をつり上げた。 「ご質問の意図が解り兼ねますが。私の意見を聞くまでもなく、解りきったことではありませんか」 「アリオカ。君が解りきったことと判断していようとも、私は君の意見が聞きたいのだ」  反論を封じられ、アリオカは瞬時言葉に詰まった。  このような扱いは心外であったが、ここで王立学院大学の教授に不興を買うことは避けたかった。  大きく息をつき、仰々しい態度で傍の席に座る少年を指さして答える。 「この高校生です。王立学院大学の授業はこの大学の合格者にのみ受講資格があるはず。であるのに、何故この高校生はしたり顔でこの席に座っているのでしょうか? そして何故、教室内の学生もそれを咎めぬばかりか、この高校生と親しげに無駄話などをしていたのか。私はこの間違いを正すため声を発したに過ぎません」  アリオカに指し占められた少年は、やはりアリオカの言葉など聞く気もないといった様子で頬杖をつき、顔を窓に向けてつまらなさそうな表情をしていた。  アリオカが自分の意見を言い切ると、グィノーは再度ふむと頷いた。  そしてもう一度アリオカへ問いかけてきた。 「君はメールソーにはここにいる資格がないと言いたいのだな」 「はい。そう申し上げております」 「そして彼がここにいることを、誰も咎めないことはおかしいという訳だな」 「はい」 「アリオカ」  グィノーは教科書から手を離すと腕を組み、改めてアリオカの名を呼んだ。  当然、自分の判断の正しさが証明され、この高校生は教室から追い出されるのだ。  そんな確信に、アリオカは正している姿勢に更に力を入れて背を伸ばし、グィノーを注視した。
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