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ハッキリした二重はちょっと垂れ目で、長いまつげが羨ましい。
また唇が薄く、口角が上がっているのも好印象だった。
私の思い描く被写体が現れたのだ。
今書いている物語の主人公が恋に落ちる相手。
想像では限界があった肌はキメが細かいことが離れた位置からでも分かった。
もしかしたファンデーションをしているのだろうか。
私はメガネの奥から気付かれないように観察をした。
「この記事も茜さんですか?」
彼はそう言うと手にしていたタウン情報誌を私に広げてみせた。
それは先月号の中で新刊を紹介するコーナーだった。
彼が近づくと、フワッと良い香りがした。爽やかな柑橘系の香りだ。
「この紹介で小説を購入した一人です」
「高橋さんは読書をするんですか?」
「はい。意外ですか? 僕は読書男子ですよ」
彼の台詞と同時に私のメガネは外された。
あっと言う間の出来事だった。
私のメガネをかけると「ね?」と首を傾けてきた。
イケメンは何をやっても許されるのだろうか。
メガネ姿にキュンとする自分に冷静さを装う。
一層のこと、このまま彼の顔を引き寄せ強引に唇を奪ってしまおうか・・・・・・。
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