恋をした

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 思春期は写真が嫌いだった。  周りが色気づくと自分の地味さが際だった。  切れ長の目は攻撃的な印象を与え、集合写真では目は半開きだった。  常に本を抱えていたことから根暗なイメージが定着すると、大学は自ら暗い子に徹することにした。  だて眼鏡デビューは今に至る。 「美容コンテスト用に写真を撮らせて下さい」  撮影ではメガネを外す代わりにマスクを着用した。  高橋隼にカメラを向けられても嫌な気はしなかった。  彼は慣れた手つきでヘアメイクまで終わらせると、無言でシャッターを切った。 「この写真、個人で使わせてもらってもいいですか?」  私の突然の申し出に、一瞬静まり返った。 「SNSのアイコンに使用させて下さい」  初めて告白した。 「自分の顔を好きになるきっかけに」  私はSNSをしていることを公にしていない。  高橋隼は微笑むとマスカラを差し出した。 「僕も今の自分を受け入れるきっかけにします」
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