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彼女から送られてきた、GPSの座標をカーナビに登録する。
距離からして、到着まで1時間は掛かるだろう。
「なるべく早く行くから、安全な所で待ってて」
「わかった、パパ」
素直な返事が、心苦しい。
通話は繋いだままで、私は車を走らせる。
パパという、その言葉で私が考えるのは、我が子の他に、実の父のことだった。
都立高校への進学を機に、実家を出るまで、共に暮らしていたあの男。
あれを、父だと思ったことは一度もなかった。
熱を出し入院した時も、剣道の大会で優勝した時も、父と同じ教員の道を選んだ時も。
父が、私に目を向けたことは、一度もなかった。
俺とお前は、合わないんだよ。
14か15歳の頃、些細なことをきっかけに、家出をした私を叱咤する代わりに、父はそう言った。
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