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私と雨音は、固く手を繋ぎ。
静けさがまとわりつく森の中を、前へ、前へと歩く。
私達が歩いている間にも。
天の川のように、星は降り続ける。
死者の命が、夜空を駆ける。
「天音。覚えてる?
小さい頃、僕に言ったよね。『おほしさまになるなら、あまねといっしょがいい』って」
「うん。だって、生まれる前から一緒なんだもん。星になる時も、一緒じゃないとおかしいでしょ。私は、雨音とずっと一緒がいい」
「天音は、変わらないね」
ズルリと、雨音の手が抜ける。
私は振り返ろうとして───自分の手が、雨音と繋いでいた手が。
真っ赤な真っ赤な血に染まっている事に、気がついた。
「あ」
まね、と叫ぼうとした唇が。
自分のものでない唇で、塞がれる。
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