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雨音が唇を離し。
自分の首から外したネームタグを、私の首にかける。
そうして。
私と同じ顔が、私と同じ声が。
柔らかく微笑み、陽だまりのように温かい声で言った。
「天音。大好き」
「雨音」
「天音。生きて。生きのびて。
だって、僕らは」
雨音が全体重をかけ、私を崖下へ突き落とす。
私が必死に伸ばした、指先で。
雨音の体を、滝のような銃弾が貫く。
血の泡を吹いた雨音が、『いきて』と、唇を形作った。
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