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1・忍び寄る死
いつもに比べ、密度が濃い闇夜。
足並みを揃え、前へ、前へと進みながらも。
ひたひたと迫りくる恐怖が、私の身を竦ませる。
小石を蹴飛ばすような、軽い音。
先頭を歩いていた軍服姿の少年が、グラリと横に傾ぎ。
糸の切れたマリオネットのように、ドサドサッと地に伏した。
私を含めた残りの隊員が、慌てて周囲の木陰に散会する。
細い細い光に変わった肉体が、バシュンと、夜空へ飛ぶ。
次いで一筋の流星が、空を駆けた。
「敵襲! 各自、戦闘配備‼︎」
森閑と更けわたる夜のしじまに、死を告げる声が響き渡った。
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