きれいの盾

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 にっこりと目を細める麻衣さんに、わたしは動揺する。これまで色つきのネイルはしたことがなかった。 「真っ赤はさすがに……」  うちの会社は派手な色のネイルは禁止だったが淡い色なら問題ない。周りでもたくさんの人たちがカラーネイルを楽しんでいた。  いきなりモテに走ったとか、誰かに嗤われたらどうしよう。  さっきまできらきらとしたもので全身が満ち溢れていたのに、急速に身体がしぼんでいく。 「正直、ネイルって一番手っ取り早く女子力が上がるよ?」  落ち着いた麻衣さんの一言に、気持ちが揺れる。わたしはすこし考えたあと、お腹に力を込めて、しぼむ身体を食い止めた。 「オフィスでも浮かない、おすすめの色ってありますか?」  一気に吐き出すと、麻衣さんは「まかせて」と満足そうに笑った。
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