きれいの盾

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 そうだ、もう隠れる必要はない。堂々としてればいいんだ。ゆっくりと、肩のこわばりがほどけていく。  喉の通りを良くするために、ちいさく咳払いをした。小出くんに向けてやさしく微笑む。 「用がないならもういいかな? わたし今日は早く帰りたいんだ」  わたしから刺が抜けたのを感じたのか、小出くんの表情がころりと笑顔に変わる。 「じゃあ一緒に帰ろうよ。ってか、飲みに行かない? 美味しい焼き鳥屋さん知ってるんだ」 「行かない」  間髪入れずに答える。小出くんが面食らったようにわたしを見た。 「……え?」 「わたしのチームの人たちを悪く言うような人とはどこにも行きたくない」  改めて睨みつけると、小出くんの目が戸惑ったように揺れた。 「そ、んなぁ……。ちょっと冗談言っただけじゃん」  わたしが歯向かうとは思わなかったのだろう、小出くんは取り繕うように、肩をすくめながら苦笑いを浮かべている。  謝ることもなく逃げる人に、容赦なんてしない。あふれてくる情動に背中を押されながら、緊張でバクバクと鳴る心臓を、震える指先を、浅い呼吸で抑えた。  言葉が上擦らないように、ゆっくりと言う。
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