きれいの盾

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 しかめ面をした吉川くんに睨まれて、身体に震えが走った。わたしはおもわず「ごめんなさい」と言いそうになって、あわてて口を抑えた。 「ごめん! 澤原ちゃん!」  両手を合わせて何度も謝ってくれる小野くんに、わたしは「大丈夫だよ」と手を振りながらフォローする。吉川くんは何もなかったかのように、パスタの容器を覆うラップを破っていた。  なんとなく会話に区切りがついて、食事に戻った。吉川くんの冷たい顔と言葉がずっと頭によぎって、残りのお弁当はまったく味がしなかった。
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